令和8年7月28日、マグニチュード7.1の地震が熊本を襲った。
発災翌日から熊本県庁に入り、8月31日現在も災害現場を走り回っている。『死なないラジオ』最新回では、この3週間の実録。ざっくばらんに語り合った泥だらけの話を、ここに書き残しておく。
現場がExcel・紙で運用を始める前に

まず着手したのは、被災者の健康観察情報のデジタル化。被災自治体は、被災者の適切な支援を提供するために、避難所や仮設住宅、ご自宅を回って被災者に聞き取りを行うわけ。
こういうケースにおいて良くあるのは、Excel、紙、ホワイトボードで情報を管理(?)するということ。現場はこれで回るかもしれないが、各課がそれぞれの管轄において聞き取りをしだすから大変だ。同じ人に何度もヒアリングを行ったり、1人の情報がばらばらに管理されてしまう。
そこで今回、 “最低限の定義” を即座に擦り合わせた──氏名はカタカナ、郵便番号はハイフンなしの7桁等、基本4情報のフォーマットを整え、後で名寄せできるようにした。この方針は、後に内閣府防災から通知が発出されることになる。
で、ノーコードツール「kintone」でプロトタイプを即日用意した。石川県では着手が遅れて、机の上に紙の山ができた苦い経験がある。「苗字しか書かれていない」「住所欄が “〇〇さんちの隣”」──あの現場を思うと、システムを早めに整えることは、それだけ救える命を増やす。
信頼の証は栄養ドリンク

熊本県でのある夜、僕に栄養ドリンクを1本差し出してくれた。「はい、これどうぞ」。受け取った瞬間「ああ、信頼してくれたのかも」と思って、つい「じゃあもっと仕事しろって意味ですね」と返したら、二人で笑った。
DXはオンラインだけで完結しない。出張して顔を合わせ、汗を一緒に流す。この泥臭さをすっ飛ばして「知らない民間企業が営業しに来た」と受け取られた瞬間、活動は止まる。災害現場だからこそこういう冗談が成立する余地が必要で、そうじゃないと支援する側も心がもたない。
災害現場は下を向いてばかりいられない

熊本市内の繁華街、居酒屋は普通に営業してて、ラーメン屋も遅くまで開いている。災害後1-2週間もすると、夜でも人で賑わっていた。
余震の中で隣のテーブルと「これは震度3だな」「いや震度4です、わははは」みたいな会話が起きている。
報道では、被災地の被害状況や避難の様子、人々の悩みが報道されているかもしれない。でも、現場は下を向いてばかりいられない。前を向いていかなければ生活できない。
“もう動き始めた日常” が、そこにある。
ポッドキャスト「死なないラジオ」で活動の様子を話しました
DMATへの衝撃、ドローンの実証実験、被災者自身が「想ってくれているだけで嬉しい」と言ってくれた能登の話──その全部は、最新回ポッドキャスト 『死なないラジオ』#最新回 で。お便りも待ってます!